風邪気味で多少熱があるが、これは観にいかないといけない、シベ少の新作。今年3本目の上演は、ちと多作すぎるのではないか、もっとペースを減らして一本に集中すべきではないかとも思っていたのだが・・・
今回、チラシでは「24」の雰囲気に見えるが、話自体は「ER」のパロディ。ご丁寧に、台詞回しも海外ドラマのふきかえに似せた大仰さだ。
が、これを延々とやられると少々飽きてくる。まぁ相手はシベ少だ。この段階でどうこう言っても意味がない。黙って時を待とう。
緊急医療の、山場で迎えた転換点。
うすうす気になっていた、積みあがったテレビ。そう、この画面分割がすなわち事前に匂わせていた「24」のヒント。シベリア少女鉄道は、推理小説と同じで、展開や結末の期待のほかに、読み解きという楽しさもある。しっかり伏線も毎回張っている。ここは他の、どこに行くのかわからない題名やチラシと全く違う異色なところ。というか、シベリア少女鉄道の方法がまっとうなのであって、宣伝時点で内容が決まってない、行き先がわからないような芝居など、商売として成立していないのであるが。
演劇の最初に述べられたVR=ヴァーチャル・リアリティの説明、これが生きてくる。
なぜにあんなに吹替え口調なのかも明らかになる。
※オープニングの映像で「siveria」から「vr」って浮かび上がらせてたけど、あんたら「siberia」じゃあないの?という突っ込みは無粋か。
その後は、まぁヘッドセットつけたままそんなに外に出るかい、という問題含め、一発芸の域を出ない。前畑洋平、藤原幹雄の二人の設定は面白いが、他はちょっと、活かされていない。途中で「篠塚茜はかわいいなぁ」など雑念入りながら見るような、こちらもだれる感じ。
そこで伏線を再び散らばせ、終幕、まとめあげに入る。
テレビは消え、しかし、どうも皆がVRの世界に戻りきっていないような会話が続く。
偶然会話になっている、というシベ少の得意技。見事な大団円。
が、最後は、あれ?このセリフは・・・というところで終了。
今回は、これで終わったんだな、というのはわかるが、また拍手がしづらい。
「二十四の瞳」のような圧倒的などっかんどっかんは、ない。
私は気に入っているし面白かったし別にいいんだが、不完全燃焼感のある観客も多いのではないか。
冒頭にあげたように、年3本は多作だろう。もっと、一本の作り上げに拘ったほうがいいとは思う。今回も、日常部分が、「昆布漁」や迷子は面白いが、それ以外の、マンガ喫茶にいるだけなんてのはどうなの?それは詰めが足らないんじゃないの?と、甘い部分が目に付いた。
が、もしかしたら、年一本でこの出来では、見る側は落胆するかもしれない。年3作だから、万が一イマイチに思っても、次は自分に向いているかも、と期待したり、あるいはトータルで見ればやっぱり普通じゃ見れないものを提供してくれているのだから満足と考え直したりできるのかもしれない。
なお彼らの芝居はネタバレ演劇という性格上か、ほぼ再演がないが、別にネタバレしてても再演すればいいじゃないか、と考えている。ネタ自体は活かしながら、細部をブラッシュアップする。そうしたら、めちゃくちゃ良く出来たメタ演劇というかパロディ演劇というか、いや、シベリア少女鉄道が芝居なのか演劇なのか微妙ではあるが、とにかく画期的な完成品が生まれるはずである。
が、たぶん、シベ少にはそこまで追及する自信というか力量は、少なくともいまのところ、ないのだろう。といっては失礼か。ベクトルが、新しいものに向いている、とするべきか。
それは、正しい。新しいものを作り出すことのほうが、古いものを温めるよりも才能がいるし重要だ。リメイクは、作品への理解や愛、新しい解釈があればできる。才能は勿論必要だが、さほど難しいことではない。勉強してどうにかなる。しかし創造はそうはいかない。そして世の中、フィクションや新奇性には理解がないし高く見ないという困った風潮がある。
そうそう、映画ってbesed on a true story と打ち出したほうが受けがいい、入りがいい。内容が真実から逸脱していても、だ。商売ならそこを狙え。演劇も、真実の物語をやれば売りができるし実際人は呼べるぞ。
だが私は、シベ少の馬鹿馬鹿しさが好きだ。マジメに追い求める驚きへのあくなき挑戦がいい。どこまで突っ走れるのかわからないが、年明けは2月にTOPSで公演予定。コンスタントにあるのは素晴らしい。粗製濫造になってもいい。いや、ならないほうがいいんだが、2作に1作のペースでそこそこ満足させてくれればいい。3本続けてこかされるとしんどいが。
まぁ今回の演目は、30分の長さでいいと思ったが。1時間半しかない公演なのに、だれる時間が長かった。ショートバージョン、二部構成、あるいは3本くらいで・・・って、それじゃあお笑いになってしまうか。
シベ少は、笑わせたいわけじゃあなくて、本当の意味でのギャグ、フレームの崩壊ということを目指しているような気がする。なんだろう、とり・みきのマンガのような感覚が一番近いんだが・・・
なお今回、駅前劇場の入ったペルモビルは改装中。1階2階はぶち抜かれていて、これは面白い光景だった。
■シベリア少女鉄道
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シベリア少女鉄道「ウォッチ・ミー・イフ・ユー・キャン」@下北沢駅前劇場
シベリア少女鉄道「天までとどけ」@THEATER/TOPS
シベリア少女鉄道「二十四の瞳」@三鷹市芸術文化センター 星のホール
※「ムダ遣い日記」転載
2004年11月07日
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