構成のバランスがおかしい。すべてがせりふで進行する紙芝居映画。そんな作品である。
主人公が興味深い人物ゆえ、面白くなる要素はある。ただ、肝はあくまでも、還暦ゴルファー、という「オールド・ルーキー」的な部分だろう。震災は重要。だが、大掛かりなセットをつかって震災シーンを撮る必要はなかったはず。そういうシーンが生きるのはそれ以前の生活がしっかり描かれていた場合であり、震災がファーストシーンという作り方は間違い。
説明無くいきなり登場する人物も多く、そのたび話が曲がっていく。実在する人物との兼ね合いで出さなければいけないのか?と勘ぐる人物が入ってきてはすぐに出て行く。不要な人物は出さないのがコストから考えても映画の鉄則のはず。しがらみで人物出されては見ている側はたまらない。
要素を盛り込めば面白くなるだろう、という考え方はよくあるが、それは間違いのもと。面白い話ならシンプルで充分勝負できる。勝負に不安だからといってごてごてつけられても、もとがダメならダメに決まっている。震災、復興、プロテストという話題は、主人公が実際体験してきたものだが、その取捨選択、整理こそがフィクションとして構築する際の腕の見せ所だろう。しかし、そのバランス配分が中途半端。消防団話などははしょり、震災〜復興はせめて30分もかけずにまとめ、以降はゴルフ話とすべきだろう。 ゴルファーの話なのにゴルフの場面をあまり見せられないのは痛いし、最後のワンショットだけしか映画らしくないというのは、予算のかけかたを間違った映画の典型である。
なお、「古市忠夫の第2の人生」 というサイトその他で見る主人公の実際の経歴は、 1997年にシニア(50歳以上)の認定プロに受かり、シニアの試合に出ている。 1999年はプロテストに初挑戦もロストボールがあり一次で不合格に。2000年に二度目の挑戦で合格している。
フィクションは整理が肝心なので、実話通りに進まなくて当然だが、しかし、その取捨選択がおかしい。1997年に一念発起して、2000年にプロテスト一発合格、という映画の話は、ブランクが空きすぎていて観客に疑念を抱かせる。 「プロゴルファーになれば金の心配しなくていいんや!」という話をされても、そんなバカなと思うばかりである。プロテストに受かったからといって裕福な生活が送れるわけではない。あまりに浅はかである。現実の主人公は1997年にシニアの大会に出る資格を得ているわけで、全くのゼロからプロを目指したわけではない。そこをすっとばして描く映画は、地から足が浮いた話となっている。
なお、製作費は十何億円かかかっているらしい。マジですか?製作は、ランブルフィッシュ、バップ、TOKYO FM、NHKエンタープライズ、日本デジタル・コンバージェンス。NHKの関連会社がこんなところで金をつかっているということは糾弾してほしい気がしますが。とりあえず、あちこち気を遣ったのか何か知らないが、いい顔しようとしすぎて、観客のことを失念した仕上がりになっている映画です。まぁたぶん元から観客のことなど考えていないのでしょう。

辛口ですね。
確かに私も構成は失敗してると思いました。
前半後半別の映画ですものね。
むしろ後半をベースにして、震災は回想で描いても良かったと思います。
ただ、その分震災の恐ろしさは十分伝わってきました。
震災そのものを風化させないことをテーマとしたいのか、オールドルーキーの心情を描きたかったのか、ちょっとどっちつかずになってしまったかもしれませんね。
うーん、震災という重い題材は、テーマ自体は否定できないようなものなのだから、つくる作品の出来も良いモノとする責任があると思うんですよね。なのに、その力がないのにほいほいと作ってしまうという作り手の貧弱な発想は、深く反省して欲しいと正直思ってます。